連絡事項

グループ法人税制について

グループ法人税制の概要
目次
1.支配関係 1-1 完全支配関係 1-2グループ法人税制
2.グループ法人間の譲渡取引
3.グループ法人間の寄附
4.受取配当の益金不算入
5.みなし配当に関する改正
6.現物配当
7.中小企業向け特例措置の不適用
8.繰越欠損金の切捨緩和
9.地方税
10.清算所得課税の廃止

1.支配関係


   一の者が法人の発行済株式等の総数等の50%を超える株式等を直接若しくは間接に 保有する関係(「当事者間の支配の関係」という)  又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。
1-1.完全支配関係
一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(「当事者間 の完全支配の関係」という)又は一の者との間に当時者間の完全支配の関係がある 法人相互の関係をいう。(法法2条1項12号の6)
1-2 グループ法人税制
①連結納税制度  ② グループ法人単体課税制度


2.グループ法人間の譲渡取引


完全支配関係がある法人間の資産の譲渡損益の繰延べ
グループ法人間で資産の譲渡取引等が行われると、譲渡損益が繰延べされます。
内国法人がその有する譲渡損益調整資産を完全支配関係がある他の内国法人に 譲渡した場合には、その譲渡損益調整資産に係わる譲渡利益額又は譲渡損失額に 相当する金額はその譲渡した事業年度の所得の金額の計算上損金の額又は益金の 額に算入される。
 すなわち、譲渡利益相当額が損金の額に算入され、譲渡損失 相当額が益金の額に算入されることから、譲渡損益が繰延べられることとなる。
法人が平成22年10月1日以後に行う譲渡について適用する。
譲渡損益調整資産とは下記の資産をいう。(法法61の13)
  固定資産
  土地(土地の上に存する権利を含む)
  有価証券(売買目的有価証券を除く)
  金銭債権
  繰延債権
例1:親会社が完全子会社へ土地を譲渡
① 簿価 1000万円
   売却価額 4000万円
現預金 4000 土地 1000
---------- 譲渡益 3000
譲渡益 3000 譲渡損益調整勘定 3000
② 子会社
土地 4000 現預金 4000
③ 子会社がH株式会社へ3000万円で売却
現預金 3000 土地 4000
譲渡損 1000
譲渡損益調整勘定 3000 譲渡益 3000  (親会社)
*譲渡損益調整資産が減価償却資産である場合、その償却額を事業年度の 益金・損金に算入する。
*通知義務:譲渡損益調整資産該当資産である旨の通知
 通知を行う必要あり
*含み損のある土地や株式を100%グループ内部で取引することにより譲渡損失を 計上することが封じられる。
 一方で100%グループ内におけるこれらの資産の 移転は非課税となることから設備の統廃合などグループ内での適切な 資源配分を課税を考慮せずに行うことができる。

3.グループ法人間の寄付


      グループ法人間で支出した寄付金は、その金額が損金不算入になるとともに       受贈益は金額が益金不算入となります。
  現行:法人間の寄附金については寄附金を支出した法人において寄附金限度内 で損金算入し、これが受領した法人において全額益金算入する。
  改正後:完全支配関係がある内国法人間の寄附金について寄附金を支出した 法人において全額損金不算入とし、これを受領した法人において全額 益金不算入とする。(法法25の2)
 通常法人が支出した寄付金は一定限度額を超える部分は損金不算入とされる。 また連結納税に関し、内国法人が連結完全支配関係がある連結法人に対して 支出した寄付金の額があるときは、その寄付金の額は全額、損金不算入とされる。 グループ法人税制での寄付は、法人による完全支配関係のある法人間での寄付に 限定される。
支出した寄付金の額があるときは、その寄付金の額は全額、損金不算入とされる。 受贈者側につては、内国法人が完全支配関係がある他の内国法人から受けた 受贈益の額は各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入しない規程が 創設された。
  *連結納税制度の下での連結グループ内の法人間の寄附金については、 全額損金不算入。 連結法人間の寄附金について支出法人においてその全額 を損金の額に算入することを認めると連結法人間での所得を自由に移転することが 可能になってしまう。グループ法人税制では寄附金は支出法人において 全額損金不算入にするとともに受領法人において全額益金不算入となる。

4.受取配当の益金不算入


内国法人が配当等の額を受けるときは、
その配当等の額(完全子法人株式等 及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等に係わる配当等の額に あっては配当等の額の50%に相当する金額)は各事業年度の所得の金額の 計算上益金の額に算入しない。
1.完全子法人株式等に係わる受取配当等の額は全額益金不算入
2.関係法人株式等に係わる受取配当等の額は負債利子控除後の金額が
  益金不算入
3.その他の株式等に係わる受取配当等の額は負債利子控除後の金額の   50%が益金不算入

5.みなし配当に関する改正


みなし配当が生じるのは
1.合併
2.分割型分割
3.資本の払戻し又は解散による残余財産の分配
4.自己の株式又は出資の取得
5.出資の償却、出資の払戻し、社員その他の法人の出資者の退社又は脱退による   持分の払戻しその他株式又は出資をした法人が取得することなく消滅させること
100%グループ内の内国法人の株式を発行法人に対してみなし配当の額が生ずる 基因となる事由により譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しないこととされた。
内国法人が所有していた株式を、その株式発行法人である他の内国法人に法人税法第24条 に規程するみなし配当に該当する事由により譲渡し金銭その他の資産の交付を受けた場合に おいて、
内国法人と他の内国法人との間に完全支配関係があるときは、その譲渡対価の 額を譲渡原価の額とみなして譲渡損益を認識しないこととされます。 グループ子法人株式を発行法人に対して譲渡する場合には、そのグループ子法人株式の 譲渡損益を計上しない。
 自己株式として取得されることを予定して取得した株式に ついては、自己株式の取得により生ずるみなし配当に係わる益金不算入制度が適用 されるとともに譲渡損が計上されるといった本制度の潜脱的利用を防止する観点から、 みなし配当に係わる益金不算入は認めないこととなっている。
グループ法人税制の実務ポイント

6.現物配当


  平成22年度税制改正において、100%グループ内の現物配当は 「適格現物分配」として組織再編税制の一環と位置づけられ課税が 生じない手当がされた。
会社法第454条第1項第1号において配当財産の種類を規程されている。 配当財産は金銭に限定されていない。その会社の製品、他の会社の株式 商品券などを配当財産と決めることはできる。 現物配当が可能となったことにより次のようなことが可能となった。
 1.グループ法人間において事業再編を行うにあたり子会社(B社)が 100%保有している孫会社(C社)の株式のすべてを親会社(A社)に現物配当 する。
 A  →   B  →  C
100% 100%
 A  ←   B
   現物配当 B社が保有するC社株式

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